2012年1月19日木曜日

【書評】文章の書き方


芥川賞を「もらってやる」と発言した人がいいたりして物議を醸したリしてるなかこの本を読んだわけですが。
一言で言うと文章の書き方(テクニック)を学ぶ本と言うよりは、普段の心構えや生き方を学ぶ本という感じでしょうか。著書を通して訴えかけているのは「文は心」であるということ。
以下要約
第一章:広い心を持ち、視野を広く、無心になって物事を見つめる。そしてそこから感じ取ったものを、心からあふれるままに描写する。
第二章:文章はあくまでわかりやすく、相手の立場(読者の立場)に立って書かねばならない。均衡を保ち、社会を見ると同時に己の中身を見通すことで初めて均衡のとれた文章が書ける。文章に品格を持たせるためにも自分の力を高めることが必要なのである。
第三章:文の目的はその人の思想、感情をできるだけただしく表現することであり、それを正しく掴み、把握することが重要である。使い古された表現を避け、文の取捨選択をする(この時にこそ自分のものの見方がよく現れる)。
上に書いたとおり、文章の細かなテクニックを学ぶ本というよりは文章はその人の人柄や心構えや人格によるので、いい文章を書くためには普段からよく心がけておきなさいという本ですね。著者の辰濃和男さんは元朝日新聞社の記者さんで75年から88年まで、天声人語を担当されていた方だとか。平易な文章で読みやすかったが、それ以上に名著からの美しい文章が数多く引用されており、それを眺めるだけでもとても楽しめる一冊でした。日本語ってこんな色々な表現の仕方があるのか、と思い出させてくれた良書でした。